幻水ニーベルング・第五話
 

文字色は…

ほぼオペラ原作通り
原作から逸れている
銀丸のツッコミ

となっております。

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 あくる日のこと、ジョウイはルカやギービヒ家の家来達と狩りに出かけました。
 森の中、ジョウイは獲物を探しながらラインの川岸までやってきました。心地よい風が水上を吹き抜け、波間にラインの乙女たちの笑い声が聞こえたような―――

ルカ:「ブタは死ね!!!!(ざしゅうっ!!)」
ジョウイ:「うわぁっ!?」

 ルカの剣はジョウイの弱点である背中にクリーンヒットしていました。ジョウイがその場にどっと倒れると、家来達は驚きで口々に叫びました。

家来A:「るっルカ様ー!!」
家来B:「何をなさるんですか!?」
家来C:「ってゆーか早すぎますルカ様!!(激汗)」
家来D:「場面すっ飛ばしすぎですよ〜!!(滝汗)」
ルカ:「やかましいわ!!偽誓を罰したまでのことだ!!」

 いやだから、偽誓が暴露されるまでのプロセスがないんですってば(涙)本当はジョウイがユーナクリフのことを思い出す場面があったのにーっ。
 ジョウイは最後の力を振り絞って最愛の人の名を呼んでいます。

ジョウイ:「ユ……ユーナクリフ……僕らは……同じ道を歩いた……」

 それも違う。いや、幸せだった頃の記憶だし……いいのか?いいってことにしておこう。
 ―――そして、輝かしい英雄の命の炎が消えうせたのでした(早ッ!)
 
 

◆◆◆



 夜になり、ギービヒの館ではユーナクリフがトリスラントの横で眠っていましたが、不思議な声に揺り起こされ、目を覚ましました。見るとひとりの女性が立っています。

レックナート:「ユーナクリフ……起きなさい、ユーナクリフ……」
ユーナクリフ:「……うーん?……あ!あなたはレック……」
レックナート:「いいえ、わたしはヴォークリンデ、ラインの乙女……ユーナクリフ、あなたに告げておかなければならないことがあります……」

 レックナートはルカによる計画と今までのジョウイに起こった事の真相をせつせつと語りました。そして黒き刃の紋章をラインに返すように言いました。

トリスラント:「……浸ってるね……」
グレミオ:「……こんな方だったんですねぇ、レックナート様……」
ユーナクリフ:「なにーっそんな陰謀が!?ルカ・ブライト許すまじー!!

 うわぁ、熱血(汗)

トリスラント:「まったくジョウイのこととなると見境ないんだからな〜」

 しかし真実が語られるのは遅すぎました。
 ルカは家来達の列と共に館に帰ってきましたが、出て行ったときにはその中に響いていたはずの角笛の音はありませんでした。陰鬱な一行に先立つルカだけが不敵な笑みを浮かべています。

ジル:「お兄様、どうなさったの?あの人たちはなにを運んできたのですか!?」

 家来達は痛ましさに沈黙したまま、ジョウイの躯を急ごしらえの壇上に置きました。

ルカ:「野猪の牙にかかったおまえの夫だ。ふははははははは!!!」
ジル:「な、なんてことを……」

 ジルは恐怖のあまり悲鳴を上げて倒れ伏しました。侍女達が気遣って気を失った姫君を運んでゆきます。ルカはジョウイに近づくと、その手にある紋章を奪い取ろうとしました。
 しかしその時、まるでそれを拒むようにジョウイの右手が挙がりました。どよめく家来達の後ろから、ユーナクリフが駆け出してきました。

ルカ:「こいつは偽誓の報いにわが剣にかかったのだ。俺が俺の獲物を頂くのは当然の権利!」
ユーナクリフ:「その紋章は僕が受け継ぐべきもの。そしてラインの水底に返すんだ……ラインの乙女が教えてくれたんだよ、すべての企みを―――ああ、ジョウイ!」

 今やすべての陰謀が明らかにされ、ユーナクリフは太い薪をラインの川岸に高く積み上げ、愛馬を曳いてくるように家来達に言いました。彼はジョウイの亡骸を焼くその火に自らを投じようとしているのです。
 家来達は薪で山を築き、女達はそれに布を掛け、香草や草花を撒いてゆきました。
 ユーナクリフは血の気のうせたジョウイの顔を見つめました。

ユーナクリフ:「ジョウイ―――君ほど純真に誓いを立てた人はなく、君ほど誠実に契りを守った人はいない。君ほど一本気に愛した人もいない……けれど、すべての誓い、すべての契り、そして至上の愛までを君ほど平然と裏切った人もいない……」

 ……ハマりすぎだわ、このセリフってば……。
 次回、クライマックス!

トリスラント:「ようやくここまで来たねぇ……」
 


 

第六話に続く。