子守唄
「ユノ、大丈夫かな……今頃どこにいるのかな……」
暗い湖面を見つめて、何度目とも知れぬ呟きを漏らした。義弟の背を見送ってから、一日中ここに座り込んで湖を見つめている。 『ビクトールもついてるからな、心配はいらないだろ』 置いていかれて不貞腐れているわたしに、フリックさんは苦笑していた。 違うの。ユーナクリフが寂しがってないか心配なの。 『あんなやかましいメンツが揃ってるんじゃ、寂しいもなにもあったもんじゃないと思うがなぁ』 違うんだよ、そういうことじゃないんだよ。 フリックさんは知らないんだね。ユーナクリフが時折、ここでじっと遠くを見つめているの。夜中に眠れないって、湖の闇を睨みつけているの。 どんなにたくさんの人に囲まれていたって、いちばん会いたい人に会えないのがいちばん寂しいんだよ。 「どうしてジョウイはハイランドに戻っちゃったの?」 どうしてひとりで。たったひとりで。わたしたちを置いて。 「どうしてかなぁ……」 どうしてこんなことになっちゃったんだろう。 身を寄せ合うようにして育ってきたわたしたち。ばらばらになってしまうなんて思ってもみなかった。 「どこにいるのかな……ジョウイ……」 張り詰めて張り詰めたジョウイの顔。ひとりで悩んで無理ばっかりして。 ひとりぼっちになるの嫌いなくせに。ユーナクリフも、ジョウイも。 いつのまにか、わたしに泣き顔を見せることなんてなくなってしまったけれど。 そこにいて大丈夫なの?寂しくないの?ひとりで泣いたりしているんじゃないの? ……ワタシハ、コンナニ寂シイノニ。 寂しがりの少年たちのすすり泣きが聞こえる気がする。
もうやだよ。
暗い湖を見つめながら、小さく歌う。キャロでは母親が子供のためによく歌う子守唄。
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短い。なんかフリックがノーテンキみたいなこと言ってますが別にそういうつもりでは全然ないです。
テーマは谷山浩子さんの『子守歌』から。いい曲だ…!
銀丸的に幻水2全体のテーマと言ってもいいような曲だ!
でも消化不良すぎ。いつか書きなおせるものなら書き直したい(泣)